君へ。
No.30
―君の傷に
触れたい、と
あの時 思った。
「もしもしー?」
「凛・・・か?」
「そうやで!どうしたん?」
「声、聞きたくなってもうた」
夜中の1時。
携帯のバイブと
七色の光で
目が覚めた。
「・・・陸?」
「・・・ごめん」
「泣いて、るん?」
明らかにいつもと違う
陸の声は
普段よりも低く、
少し掠れている。
「凛に・・・会いたい、」
「え?」
「一人やと、怖いねん・・・」
「ちょ、陸?」
「会いたい・・・」
聞こえてくる泣き声。
携帯を落とした音。
いつもと違う陸は
弱くて、まるで子供みたいだった。
「・・・陸、どこにおるん?」
「今・・・おばあちゃん家・・・」
「おばあちゃん家って、たしかうちの近所だよね?」
「・・・おん・・・」
「場所、教えて」
「・・・え?」
逢いに行くから―・・・