君へ。
No.31
―今すぐ
逢いに行って、
君を抱き締めたい。
「逢いに行くから。」
「お前、病院やろ・・・」
「病院なんてどうでもええ。」
「・・・凛・・・」
「今は陸の方が何倍も大事や。」
ジャージの上に
上着を羽織って
バレないように
裏口から病院を出た。
「陸のおばあちゃん家ってどの辺なん?」
「・・・櫻木公園の、近くや」
「ほな櫻木公園で待ってて?」
陸が言葉を発する前に
電話を切る。
そのまま夜道を
全速力で走った。
「ッはぁ・・・着いた・・・」
痛む脇腹を押さえて
真っ暗な公園を見渡す。
そして見えたのは、
携帯を握った男の人。
「・・・陸?」
「・・・凛、」
「遅くなって、ごめんな」
「凛・・・」
陸の事を
強く抱き締める。
陸の頬を伝う涙が、
地面に落ちた。
「凛・・・ごめん・・・」
「ええよ。」
「もうしばらく、このままでおって・・・?」
「ん。」
君にたくさん助けられた。
だから今度は、
私が君を助けるから....。