君へ。

No.32


―涙を流す君を

離れないように、と

強く強く抱き締めた。






















「ありがとうな。凛・・・」

「ううん。」

「具合良く無いのに・・・」

「気にせんで?大丈夫やから。」





















陸が笑う。

だけどその笑顔は

明らかに作っている

偽りの笑顔。





















「何か、あったん?」

「・・・おん」

「そっ、か。」

「凛、聞いてくれるか?」

「ええよ。」





















陸は

薄く口を開いて

涙を堪えながら、

話始める。





















「俺、病気なん。」

「病・・・気?」

「おん」

「それで・・・?」

「今日、医者に言われてもうてん。」

「何て?」

「あと1年しか生きられん、て。」





















陸の涙を見て、

私まで泣きそうになったけど

唇を噛んで

込み上げてくる涙を堪えた。





















「神様って、意地悪や・・・」

「・・・」

「もっともっと、やりたい事あんねん・・・」

「陸・・・」

「残された時間、1年なんて足りひん・・・」
























「陸、大丈夫やから。」

「・・・凛?」

「陸は生きられる。」

「・・・ほんま?」

「絶対に生きられるから・・・」





















絶対に

神様は君の事を

裏切ったりしないから....。

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