君へ。
No.34
―お願いです。
君の為に、私の為に、
時間を止めて下さい....
「・・・陸?」
「凛!やっと目覚ました!!」
「陸、は?」
「・・・」
「なぁ、杏!陸はどこ行ってん!」
目を覚ましたら、
病院のベットの上で。
隣にいた陸は
どこにもいなかった。
「陸君、な」
「おん」
「集中治療室におんねん。」
「・・・え?」
手にあった温もりが
だんだんと冷めて、
陸の温かさは
すっかり消えてしまった。
「さっき、倒れてん。」
「なん、で?」
「陸君が凛背負って、此処に連れて来てくれたんよ。」
「陸・・・が?」
「おん。たぶん、凛の事を思って連れてきてくれたんやと思う。」
堪えてきた涙が
目から溢れ出る。
何度 唇を噛み締めても、
涙は止まらない。
「陸ッ・・・」
失いたく無い。
一生 傍に居たい。
初めてそう思った。