君へ。

No.35


―手を握ったら、

君の温もりが

私の全てを温めた。



























「陸君のとこ、行く?」

「・・・陸に会えるん?」

「窓越しやけど会えるで。」

「なら、行く。」





















頭が痛い。

お腹が痛い。

だけどそれ以上に、

胸が痛い。























「・・・うち、先生と話してくるわ。」

「おん。」

「なんかあったら言うんやで?」

「ん。」





















窓越しには

さっきまで隣に居た陸の姿がある。

器械に囲まれている風景を見て、

また胸が焦げるように熱い。





















「凛。」

「なに?」

「先生が、凛だけなら中に入ってええって。」

「ほんまに?」

「おん。陸君の手、握ってあげてや。」

「ん・・・。」





















冷たくなった手を

そっと両手で包み込む。

また溢れ出した涙が、

二人の手へと落ちた。






















「陸、ありがとうな・・・。」























守ってくれて、

ありがとう。

想ってくれて、

ありがとう。

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