君に届け~俺の想い~
出逢い

俺の名前は黒崎塁斗(くろさき るいと)16歳。

毎日のように思いだすあの日の記憶。

俺の大切な人が、目の前で事故に遭ったあの日のことを…。


***

まだ俺が14歳だった頃、俺とアイツは出逢った。

俺はいつものようにレンタルショップでDVDを眺めていた。

たまにはホラーでも借りよう…。

DVDを取ろうとした瞬間、誰かの手もそのDVDに触れた。

『あっ…』

二人の声は重なり、俺はすぐに手を離した。
何このベタな展開…。

「ごっ、ごめんなさい!」

隣にいた背の小さい女の子は顔を真っ赤にしてうつむいた。

「こっちこそごめんっ!俺、違うの借りるからっ」

「ううんっ!いいの…。どうせ一人じゃ見れないから…」

「じゃあ俺んちで一緒に見る?」

俺は軽く言っちゃったけど、女の子もちょっと考えてから頷いた。

家に着くと、女の子は小さな声で

「お邪魔します…」

と言った。

「どうぞどうぞ。適当に座って」

「あ…ありがとう」

お茶を差し出すと、軽く会釈をして受け取った。

「あ、ホラー初めて?」

「う…うん」

「じゃあ怖くなったらすぐ停めるから言って?」

「うん…あ、ありがとう」

映画が始まると同時に、女の子は自分のスカートを握った。

そんな怖いシーンではないはずなんだけど…。

「あのさ、俺黒崎塁斗。君は?」

「く…くろきゃあ!!」

女の子は悲鳴と共に床に倒れ込んだ。

「えっ、ちょ!」

俺は一時停止ボタンを押した。

「大丈夫かよっ?」

「こ…腰が抜けた…」

「ぷっ…あはは!」

「わっ笑わないでっ…」

「だって、ウケるじゃん!」

「…あ、私の名前は黒姫小夜(くろき さよ)。よろしく」

「よろしく。小夜何歳?」

「14歳だよ」

「同い年じゃん!でも学校違うね、俺たち」

「うん。私が通ってるのは黒崎くんの学校の隣だと思うよ」

「そうかぁ…」

「でも黒崎くん、これからは友達ねっ!卒業したら同じ高校に行けるよ」

嬉しそうに小夜は微笑んだ。

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