誘拐犯瞬くんの日記
「えっ……そっそんな、あんた、誘拐されたことあんの?!」
「……うん」
「そっか……大変だったろうに」
うんうんと一人で頷く佐織がなんだか面白かった。
「でも私、警察が来るまで誘拐されてたなんて気づいてなかったの」
「はっ?」
「んー話すとめんどくさいから……これ……読んでみて」
「何これ?」
私の差し出した黒いノート。
それは瞬くんが毎日欠かさず書いてた日記帳。
「これ、私の初恋の人……つまり犯人の日記なんだ」
「えっ……と、私が読んでも……いいの?」
瞬くんにも嘘つかれたんだから、私だって一個くらい約束破っていいよね?