誘拐犯瞬くんの日記


それから俺たちはドリンクバーだけで一時間ファミレスに居座った。

最初から最後まで涼太は警察に行ってこいと言っていた。


「そんなに警察警察言うなら、涼太が通報しなよ」




そう言ったら、涼太はふざけんなって立ち上がって俺のこと殴ってきた。

一瞬店の中がざわついたけど、俺も涼太も気にしなかった。



「謝らないからな」


「うん」




涼太の辛い気持ちもなんとなくわかってるつもりだ。

仲の良い友達が少女を誘拐してるだなんて、信じたくない出来事だよね。





「瞬くん大丈夫?」


チャプ……



「……うん」


「元気ないね」



浴槽の中でウミちゃんは俺に笑いかけた。

ウミちゃんの裸は可愛い。



「ねーウミちゃん」


「なぁに?」


「明日も一緒にお風呂入ろうね」


「あっ瞬くん、本当はあの映画怖かったんだ」


「そうかもね」



そう言って俺が裸のまま抱きつくと、のぼせてるのか恥ずかしいのか、ウミちゃんは真っ赤になってた。


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