愛読書
亘―ある日奇―
亘は紙に日記とも小説ともつかぬ文章を書いていた。活字を生み出せば、少女に近付けるのではないかと思ったからだ。文体も、その小説を真似ている。毎日少しずつ書き進める。怠ったことはなかった。この文章を書き進めた後にはいつも、少女の声が聞こえたり人影が見えたりした。
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