愛読書
悠介は柄にも無く悩んだ。どうすれば親友の助けになれるかと。亘は、高校の時からあまり自分の感情を表に出さない奴だった。自分から他人と関わることはせず、むしろ距離を作っていた。
無表情だが整った風貌は、女子にも人気があったが、当人はむしろ嫌がっていた。憂いのある雰囲気も儚げで素敵だと言われていたが、悠介はむしろ心配だった。何だか存在が希薄に感じ、目を離したらフッと消えてしまうんじゃないかと思っていた。ちゃんと掴んで現世に留めておかないといけない。親しくなる前から、亘は放ってはおけない存在だった。
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