【短編】大好き!
正太郎が家に入って行くのを
見届けてから
あたしは門から手を離し、
白い吐息を吐きながら歩き出す。
「さむっ…。」
帰ろうと歩き出そうとした時…
「おいっ!!!」
突然響いた低い声に
ぱっと振り返ると
「これ着てけ」
黒いモノが、あたしの目の前に
突然飛んできた。
「ぶっ!!」
見事にあたしの顔にヒット…
乙女の顔に何てことを…
黒いモノに目を向けると、
黒色のジャンパーだった。
「これ…正太郎の?」
「親父のやる。」
「ありが…ってえぇぇ!?」
お父様の貰って
どうすんだーーっ!!
返そうと思い正太郎の方を
見ると既に正太郎は消えていた。
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