【短編】大好き!
意気込んできたのはいいもの…
あたし正太郎の家に、
入ったことないんです。
正太郎はあたしの家に
入ったことはあるんだけどね…
「…………。」
おそるおそる指に
インターホンを近づけでも
なかなか押せない。
あたしってこんなに
意気地なしだったっけ…?
インターホンに指先を向け、
にらめっこをしていた。
しばらくうーうーと悩んでると
玄関のドアが開いた。
「正ちゃん、お母さん
行ってくるわね☆」
「うるせぇ。
正ちゃんって呼ぶな」
「正ちゃんは正ちゃんでしょ!
じゃあね☆」
玄関でやりとりする
正太郎とお母様。
あろうことあたしは
インターホンに指を当てたまま
固まっていた。
そして、バチッという音が
聞こえるかのように目が合う。
何……
このタイミング…
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