【完】キスミーアゲイン
車が赤で止まった瞬間だった。
ぼそりと、ユキさんは小さく呟いた。
「…それは、どういう意味で言ってるんですか?」
「え?」
「…なんでも、ないです」
ユキさんの方を見ずに、私は俯いて思わずそう言っていた。
その言葉は、私を少しでも必要だと思ってくれてるって思ってもいいんですか?
でも、その『必要』はどういう意味ですか?
『家政婦』として?
…その後家に着くまで、私達はどちらも口を開かなかった。