【完】キスミーアゲイン
呼びかけたって、動かない。
辺り一面真っ赤なカオリの血で染まっていて、俺の服も手もカオリの血で真っ赤になっていた。
…信じたくなかった。
カオリが、死んだなんて。
「っ…―――!!!」
声にならない叫び声が出た。
人間って、俺って、こんなに叫べたんだ、なんて頭の片隅で冷静に考えている俺が居た。
けれどカオリの死を受け入れる余裕なんて、そのときの俺には全くなかった。
…その後の記憶は曖昧。
はっきりした記憶があるのは、俺はあの上司をナイフで切りきざんでいたところを要と榊に止められていたところ、だけ。