【完】キスミーアゲイン


俺はカオリがいないことをわかっていながら、今もカオリを探している。

もうこの世にはいない、最初で最後の、俺の愛したオンナ。




「ユキ、やりすぎだって。後始末めんどくさいんだぞー」

「……」

「…まったく。」




俺と一緒に仕事をしていた要や榊が相手に同情するほど、俺は必要以上に『お客さん』を傷付けるようになっていたのも、あの頃から。


乾いた音を聞くと、カオリとあの上司を思い出す。

俺の目の前で倒れていく人間にカオリが重なる。そして、あの日のことを思い出す。




…誰も俺を止めようとしなかった。

俺は日に日に狂っていた。


< 205 / 271 >

この作品をシェア

pagetop