【完】キスミーアゲイン
俺はカオリがいないことをわかっていながら、今もカオリを探している。
もうこの世にはいない、最初で最後の、俺の愛したオンナ。
「ユキ、やりすぎだって。後始末めんどくさいんだぞー」
「……」
「…まったく。」
俺と一緒に仕事をしていた要や榊が相手に同情するほど、俺は必要以上に『お客さん』を傷付けるようになっていたのも、あの頃から。
乾いた音を聞くと、カオリとあの上司を思い出す。
俺の目の前で倒れていく人間にカオリが重なる。そして、あの日のことを思い出す。
…誰も俺を止めようとしなかった。
俺は日に日に狂っていた。