【完】キスミーアゲイン
「…俺は、人を好きになる資格なんてないと思ってた」
ユキさんは私から顔を離すと、真剣な顔付きで私を見下ろしたまま、話を続けた。
「俺が好きになったことで、カオリは死んだから」
「……っ、」
「でも、綾芽に出会って、…惹かれて、自分のものにしたくなって、『家政婦』として俺に縛り付けた」
「……」
「さっき、綾芽の気持ちを聞いて、抑えてた気持ちが爆発して、…キスした。まさか、泣かれるとは思ってなかったけど」
ユキさんの言葉が、頭に響く。
視界が、揺れる。
それでもユキさんに言われた通りに目だけはそらさずにいた。
ユキさんとの視線は、絡まったまま。