【完】キスミーアゲイン
出会わなければ、平凡だけど幸せだったかもしれない。
少し前まで、出会わなければよかったと思っていた。
…でも、なんでかな。
気付いたら、ユキさんのことを知りたいって思う自分がいて。
近付きたいって思う自分がいて。
あんなオレ様な人なのに、どうして。
『ピーッ』
そこまで考えて、食器洗い機が洗浄終了の合図を知らせる音で、私はハッと意識を現実に戻した。
…いけない、いけない。
何を考えてるんだろう。
私は家政婦で、彼に命を握られてるというのに。