【完】キスミーアゲイン
呆然と私が地面にしりもちをついたままでいると、彼が私の方に振り返った。
「…んで。アンタは見ちゃったの?」
「…何を、ですか」
私の言葉に、彼はふ、と妖しげな笑みを浮かべた。
…このとき、彼を初めて正面から見た。
整った顔立ちで、黒のスーツ、黒のワイシャツ。ネクタイはしていない。
ボタンを何個か外していて、少しはだけている。
一見、ホストにも見える。
「殺害現場?」
「さ、つがい…?」