【完】キスミーアゲイン


勢いよく走ったせいか、廊下でつるりと足を滑らせてしまった。




…あ、そうだ、この前ワックスかけたんだっけ。忘れてた。


転ぶ!と思ってぎゅっと目をつぶったけれど、体に衝撃はなかった。

おそるおそる瞼を上げると、視界は真っ黒だった。




「…っぶねーな、お前は。廊下にバナナの皮でもあったのかよ」


頭の上から聞こえた声にドキッとしたけれど、私は今の状況がまるでわからなかった。


< 96 / 271 >

この作品をシェア

pagetop