あ。俺、重症だ。

別にタイプの顔だったわけではないし、彼女がいる事実もあった。

それでも、そんなの関係ないくらい、俺はひきつけられたんだ。

その凛とした姿に。


そんなこと初めてで、戸惑う心情とは裏腹に、目だけは必死にあの人を見つめてしまっていた。

すれ違いざまにもしっかりと。


幸か不幸か気付かれなかった俺は、あきらめ悪くも振り返り、その人の背中を見つめた。




そこで目に入ったのは自転車に貼られた高校のステッカー。


ステッカーは2枚貼ってあった。


一年に付き一枚だとすると、恐らく2年生。

俺が今中3だから、重なるとしても来年、俺が1年で君が3年の一年だけ。


学校に向かいながらそんなことまで分析してしまった自分が少し怖いが、そんなことを気にしていられるほどその時の俺は冷静ではなかった。



頭の悪い俺には、到底無理なエリート高校。



エリート校に通うその人のことをすげぇなと思う前に、あの人と同じ高校に行きたいなと思ってしまった俺は、どうしようもないくらいあの人のことが気になってしまっていたんだろう。









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