あ。俺、重症だ。
初めてあの人見たあの日から、俺は変わった。
いや、変わらざるを得なかったと言った方が正しい。
今までは、朝が弱くて遅刻常連だったのに、あの日から遅刻することはなくなった。
だってあの時間じゃないとあの人に会えない。
教師に呆れられるくらいバカだったのに、頑張って勉強するようになってからは調子の良いときは上位グループに入れるようになってきた。
だって勉強しないと清架高校には入れない。
周りの友だちを始め、教師も親も、それはそれはビックリしてる。
まぁ、当たり前か。
遅刻の常習犯が、途端に毎朝時間通り、むしろ余裕を持って登校しだした。
勉強嫌いで赤点ギリギリの点数しか取ったことなかった奴が、クラスの上位に入り込むくらい勉強しだした。
その理由が、こんなにも不純なものだとは誰も思わないだろう。
ただあの人に見たいだけ。
ただあの人と同じ高校に通いたいだけ。
それだけで、こんなに頑張れちゃう俺は、自分が思っていた以上に単純だったみたいだ。