あ。俺、重症だ。
初めて出会った日から数週間、同じような毎日が過ぎた。
「…でね、お父さんがね……」
今日もいつものように愛花の話を聞き流す俺。
頭の中は君のこと。
今日のネクタイかっこ良かったな。
髪型もかっこ良かったな。ちょっと風で崩れてたけど。
いつも何の曲聴いてンのかな。
「翔?ちゃんと話聞いてた?!」
「お父さんがお前のゼリー食った話だろ?」
「残念でした。ゼリーを食べたのはお姉ちゃんで、お父さんは愛花のメロンパンを食べたんですー。」
そうですか。
たいして変わんないじゃん。
「…翔、最近ボーッとしてるよね…?なんかあったの?」
「そう?」
「…っそうだよ!今だってあたしの話聞いてなかったし!」
残念ながら愛花の話はいつも聞いてないけどね。
「…もう、翔と居ても楽しくない!!別れるっ!」
そう言い残し去っていった愛花。
なんとも突然の別れる宣言に驚いているうちに、愛花は見えなくなって行った。