あ。俺、重症だ。

去っていったと思いきや、昇降口の数歩手前に、こちらを気にしている愛花の姿があった。

……なんなんだよもう。



「…翔、なんで追いかけてくれないの?」


はぁ?お前、自分から離れたんだろ?

別れるんだろ?




「愛花、ホントに翔のこと嫌いになっちゃうよ?!」



さっき嫌いって言われたけど。


でも嫌いって言われてもなんとも思わなかったんだよね。

その時点で、もう俺の中ではとっくに答えは出ていたんだなぁと実感しましたよ。



「…愛花のこと嫌いになっちゃった?ね、愛花のこと好きだよね?あ、マサ君のことだったら、あんなやつ本気じゃないからね?あたしは翔のことが一番好きなんだから、あんなの遊びだよ?」



マサ君ってどこのどなたですか。

…俺、浮気されてたんですね。今知りました。

自分から悪いところ暴露して、何がしたいんだよ?



もういいや。
いい機会だから、ハッキリさせよう。



俺はあの人のことが好き。

俺は愛花のことが…嫌いじゃないけど、好きでもない。
浮気されててもなにも感じないくらいにはどうでもいい。

むしろ愛花は俺のこと本気じゃないみたいだし。



よし。決まり。




「愛花。最近俺が勉強してんの知ってるだろ?」


「う、うん。すごく頑張ってるなって思ってた。でも構ってくれなくて悲しかった」


「それは…ごめん。でも俺、行きたい高校あってさ、勉強に集中したいんだ。だから、別れよう。」


「え、翔、ホントに…?」


「…俺の勝手で、ごめん。今まで付き合ってくれてありがと。…じゃあね」



少し冷たいかなとも思ったけど、たぶん愛花はこれくらいハッキリ言わないと分かってくれないと思うから、曖昧なままにはしない。





< 13 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop