あ。俺、重症だ。
あと1センチ
地学準備室の奥の秘密の扉。
鍵は開いてるみたいだ。
扉を開けて、その先へ足を踏み入れる。
屋上には手すりに寄りかかり、校舎を眺める日向先輩がいた。
こっちに背を向けてるので、表情は分からない。
……よし。
「…日向先輩!」
「うわぁっ!!」
日向先輩が勢いよくこっちに振り向く。
その頬には涙の筋が描かれている。
「…なんだ、翔かよ…ビックリしたぁ……」
ごしごしと瞳を擦る日向先輩。
「すいません…驚かすつもりはなかったんですけど……」
まさか泣いてるとは思わなかった。