あ。俺、重症だ。
あ、日向だ。
翔の後ろから執事のカッコをした日向接近中。
翔、よろこ…いや、嫌がるだろうな。
「お前な…猫のかっこが似合うって言われて嬉しい男子なんてどこに…」
「あ。ミッチーやん。」
「日向先…ぱ、い?!」
わー。びっくりしてる。
「可愛いかっこしてるね。」
猫しっぽをいじる執事。
完全におもちゃを見つけた顔だ。
「え…あ、あ゙ーー!ちょ、見ないで下さい…まじ、ハズいんで…」
困ってる困ってる。
どうやら翔は九条家にいじられる運命にあるらしい。
猫しっぽや猫耳をいじる執事と、されるがままに真っ赤になる猫。
どんな構図だよ。
また猫ちゃんは幸せそうな顔しちゃってー。
そんなあからさまに表情に出してたら、執事も気付いちゃうんじゃねーの?
君の気持ちにさぁ。
「おい、執事。猫ちゃんには仕事があるんだ。連れてくぞ。」
と、まぁ自分なりには絶妙なタイミングで切り出したつもり。
目の端に見える翔の顔には"邪魔しやがって"とデカでかと書いてある。
日向と別れ、また客引きに戻ろうとすると、隣で呟く猫が一匹。
「かっけぇ…。」
…こいつぁ重症だ。