あ。俺、重症だ。
4回戦もあっさり勝ち進んだ日向先輩のクラス。
心なしか昨日より動きが良くなってる気がする。
「お、翔じゃん。」
「あ、部長。男子バスケの審判ですか?」
向こうのコートでは、男子がなかなかの熱戦を繰り広げている。
「そうなんだけど…翔ばっかり日向の試合担当でズルくね?オレも間近でみたいんですけど」
「俺は日向先輩のじゃなくて、女子バスケの担当なんです!」
担当を交換しようと圧力をかけてくる部長をあしらっていると、部長の背中の向こうに日向先輩が見えた。
え、すごい勢いでこっちに向かってくる…?
「だ、い、きーーー!!」
「うおぁっ!!痛ってー!!」
素晴らしい足の早さで部長の背後に近寄り、スッパーンっと思いっきり部長の後頭部を叩いた日向先輩。
部長は急な攻撃に、前のめりになって衝撃を受け止めると、頭を抱えて床に転がりまわっている。
そんなに痛かったのだろうか。
…痛いか。あんな音したくらいだしな。