成人しちゃっていいんですか
「マ~ヤちゃん♪」

「あ!おはよう由華ちゃん♪」

ひとり、学校へ向かうあたしの側に寄って由華とあたしは並んで歩く。

「なにか顔に付いてるあたし?」

由華は首を振ってちょっとだけと言った。


「なにかあったの?」

と、尋ねるあたしに衝撃が走った。

「あのね?一哉くんがどうやったらあの不良に勝てるのかって、ボクシング習い始めたらしいよ?大変だよねどっちもってなんだか羨ましくて」

「あはは……」

「マヤちゃん?」

「あは…あははは‥あはは」
「おはよう!ってマヤなにかあったの?」

「う-んん?」
「またなにか責任感じてたりして…」
「あ!一哉くんだ…」


 びくっ



上の空で聞いてたあたしと由華と舞彩の前に元気よく駆け寄る彼の姿が、映った。

勢いが良過ぎるほど速い速度で近付いた彼は立ち止まると肩を叩いた。



「おはよう諸君!いい朝だね」



「はっはっは-」と笑わなかっただけでもマシに思いたい。

否そうじゃないとあたし笑顔がこれ以上もたない。

彼を変えたのはあたしだ。

彼の進路相談が「ボクシングの選手に」とかだったら、あたしは泣いちゃいそうだ。
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