成人しちゃっていいんですか
「くっ!」

 ぶんぶんぶんっ



「…くっ……陸…」


 がたっ



「うう…」




陸から離れてあたしはクッションを握って振って投げようと思った。

投げて喚いてみたかった。

けど、出来なかった…。

これ以上嫌われたくないから。
あたしは座って敷く筈のクッションを握って抱えて涙でぐしゃぐしゃに濡れる顔を埋めた。

声を抑えて泣く。


だから直ぐに陸の隣りには行けなくて。
なんで泣いたのかもわかってなくて、わかってるのは陸の方な気がして苦しかった。

あたしは陸が嫌がる女にどんどんなってしまっている。

「こんなんじゃだめなのに…っだめなのにッ」
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