成人しちゃっていいんですか
夕暮れの中、彼と歩いた。

彼らしいお詫びのつもりなのだろう。



「手が痛いよ」

「……も…よ」

「え?」



「だとしても離さないよ。おれは手が寒いんだ」



(くっなにそれ)



おかしいんだけど、あたしはもう笑ってるんだ。

焼肉を食べ終えてからの散歩だというのに。

陸に対して不安定なあたしの思いは壊れかけたのにね。

「陸」

「なに」

「陸」

「だからなんですか」

 ぎゅっ

「なんでもないっ…でもね?」
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