意地っ張り+意地っ張り
お母さんはいつもこんな感じなので、あえて何も言わないでおく。


「あ、そうだ雛。和馬君のお母さんから借りた本、返しに行ってくれない?」

「えー自分で返しに行けばいいじゃん。家隣なんだからさ」

「いいじゃないの。それに、雛も和馬君に返さなきゃいけないものがあるんじゃないの? 例えば数学のノートとか」

「なっ、なんでそれを…?」

「お母さんはなんでもお見通しなのよ♪」


なんだそりゃ。でも、確かにあいつにノートは返さなきゃならないし……しょうがない。行ってきますか。


あたしはお母さんから本を受け取り、自分の部屋に戻って鞄の中から数学のノートを取り出し玄関に向かう。


「それじゃ、行ってくるねー」

「あら? ベランダから行かないの? その方が早いと思うけど」

「……あたしはあいつみたいに野蛮じゃないから」


静かにツッコミを入れ、家を出た。






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