一生離さねぇぞ


自分の中でいろいろ考えてたら…




ピンポーン――――。





お母さんが玄関に出る。


誰なんだろ…。



私は他人事のように思っていた。



すると―――。




「椎!…弘くんよ!降りて来なさい?」




弘くん―――?



嫌だ…、今は会いたくないよ…。





コンコン―――。




お母さんだと思った。




「…はい?」



カチャ。



「椎?」



「なんで?…なんで弘くんが居るの?」




弘くんに泣き顔を見られたくなくて、私はクッションに顔を埋めた。



「椎、今日ごめんな?用事長くなってさ…すぐ終わると思って、後で椎に連絡しようと思ったけどこんな時間になっちゃったから、来た。」



弘くんはこうやって謝りに来てくれたのに、素直じゃない私は



「…桜井さんと居たんだよね?」


「え?」



「隠さないで…言ってくれたら良かったのにっ…。弘くん、何回呼んでも気付いてくれなかったし…私より、桜井さんの方が…合ってる。」




「椎何言ってんだよ。」



「だって…そうでしょ…?」




涙で上手に言えない。



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