一生離さねぇぞ
弘明side
俺は椎と二人で教室に戻った。
それより、椎が何もされなくて良かった。
それでも、椎を抱きしめた橋本はぜってぇ許さねぇけどな。
一人で考え事をしていると、隣の席の桜井が話し掛けてきた。
他の男にしろよ…。
「何?」
「坂倉くんなんか怒ってる?」
お前のせいだろ。
「別に…。」
「良かった!あのさ、昨日学校案内してくれたじゃない?そのお礼に、クッキー作って来たの!食べてくれる?」
クッキー?要らねぇよ。
椎のだったらまだしも…。
「クッキー嫌い?」
泣きそうな目で訴えてくる桜井。
「じゃあ…貰うよ。」
貰えば気が済むんだろ?
「やったぁ!おいしいか分からないけど、どうぞ☆」
俺は、これを椎が悲しい気持ちで見てたなんて気付いてやれなかった。