優しい君に

「まぁ、太郎さんも苦労人だよ。奈月さんは天然だし、アピっても全然気付かない。」


「あははっ!!なんか分かるかもっ」


「で、奈月さんのお父さんは絶対反対。断固拒否。まぁその気持ちも分からんでもないけどな。」



うん。
確かに、お父さんなら暴力団絡みの人とのお付き合いには賛成し難いだろう。


娘が大事なら、大事なほど。



「だけど、太郎さんは諦めなかった。」



大ちゃんはそう言って、少し笑った。




「諦めなかったんだ。三年間、ずっと。」




三年間。

なんて、長い期間。


そんな長い間、ただ一人を思い続けてきた。





< 122 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop