優しい君に
「あ!なんか教室行くっぽいし一緒に行こ!」
大ちゃんはそう言って私の手を引いた。
繋がれた手の体温は、いつも温かくて安心する。
だけど…
いかさか視線が痛い。
女の子達のヒソヒソ話が渦を巻く。
きっと私、友達できないな…
少し乾いた笑みを浮かべながら、そう思った。
「…そうだ。みぃ、帰りはみぃのクラスまで迎えに行くから待ってろよ?」
「うん。」
「よし、じゃあまた後でな。」
私の教室の前で大ちゃんはそう言って、優しく頭を撫でてくれた。
そして、自分のクラスに向かって歩き出した。
その背中を見ながら、急に不安になったけど、気付かないふりをした。