優しい君に
「俺はケータイの充電の話してたんだけど…」
「ケータイ!?なんだ…喧嘩したのかと思った…」
若干ホッとする。
いくら大ちゃんが不良でも、やっぱり喧嘩とかはして欲しくない。
私の記憶の限り、大ちゃんは小学校までしか喧嘩はしてない。
喧嘩したら怪我とかで分かるけど、中学の間はそんな様子はなかった。
「…大ちゃん、」
「ん?」
優しく私を見つめた彼に、私は少し笑った。
「…何もないよ。」
春風は、柔らかく街を駆け抜けた。
(どうか、いつまでも私の知っている貴方でいて…)