優しい君に
私は人前に出るより、初めての人とお話するほうが苦手。
先生や、そういった目上の人なら大丈夫だけど…
同級生や先輩になると、緊張して息苦しくなる。
男の子なんてもってのほか。
話し方が分からない。
だって、男の子なんか無縁の15年間だったから…
さっきの緊張がまだ出先を痺れさせている。
お願いだから、もう話しかけてほしくない…
なんて切実に願うけど、すぐに裏切られた。
「…もしかして…櫻井、美紅ちゃん!?」
矢代くんは突然そう叫んだ。