優しい君に
静かな教室に、矢代くんの声が響く。


当然、視線が集まる。



鈴木さんといい、矢代くんといい、なんでフルネームで呼ぶんだろ…



なんて小さな疑問は、生まれてすぐに消えた。



消すつもりなんてなかったけど、再び話しかけられてしまったから脳が勝手に消したんだ。


バクバクと心臓が暴れ出す。


それは『恋してドキドキ』なんて可愛いものじゃない。


バクバク、だ。



そうとも知らない矢代くんは、顔をぐいっと近づけてくる。


近くでみると、ますます可愛い顔立ちだと分かる。



女の私より、遥かに綺麗で可愛い。




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