優しい君に
変人
「そういえば、みっちゃんって何中出身?」
矢代くんは書類を放置しながら尋ねた。
この書類はこの時間で仕上げなきゃいけないのに。
私は書類の住所欄を書き込みながら、チラリと矢代くんをみる。
少し茶色がかったアーモンド形の綺麗な瞳が、じっと私を見ている。
私は何も答えずに、再び書類に住所を書き込んだ。
「えっ!?無視っ!?」
隣から声があがるけど、答えることはしない。
今は話す時間じゃないし、静かな中で話したらみんなの迷惑になる。
そして何より、矢代くんは話すのには疲れる相手なんだ。