優しい君に
「…お嬢様、ではないよ…」
「だってあそこお金かかることでも有名じゃん!!!」
鈴木さんが鼻息荒く言う。
「…た…多少免除もあったから…」
所謂、特待生みたいなもの。
何割かは学校が負担してくれた。
「へぇ~…じゃ、なんで西高?」
一瞬、大ちゃんの顔がよぎった。
「…いろいろ、あったの。」
大ちゃんのこと、言うのはマズい。
私の敵が更に増えるし、何より大ちゃんが可哀想。
こんな地味女を、同じ高校に誘う大ちゃんの悪趣味さが、周囲にバレてしまう。