優しい君に
「確かに噂。人形なんて言い過ぎの表現かもね。」
矢代くんは少し笑顔でそう言った。
「…だけど、喧嘩はかなり信憑性がある。」
「…あくまで噂だよ。」
言い返した私に、矢代くんはまた笑った。
その笑顔がほんの一瞬、すごく冷めていて少し怖くなった。
「被害者の数は50を軽く越えてる。俺の知ってる奴もやられた。冷酷で喧嘩が強いのは確かだよ、みっちゃん。」
冷酷?
彼はあんなに優しいのに。
「…矢代くんは、大ちゃんが嫌いなの?」