優しい君に
「…バイバイ」



ぎこちなくそう言うと、矢代くんはにっこり笑って手を離した。




私は逃げるように大ちゃんのもとに向かう。





もうっ!!!
なんで矢代くんの手、あんなに冷たいの!?


びっくりするじゃないっ!!!



まだ落ち着かない心臓を抑えながら、私は大ちゃんを見上げた。




「お待たせっ帰ろっか。」





そう言って歩き出すけど、大ちゃんは歩き方を忘れたようにその場に立っていた。



そして、恐ろしいことに無表情で。






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