優しい君に
「…大ちゃん?どうしたの…?」
さっきまで笑顔だったのに。
無表情の大ちゃんなんて、いつ以来だろう。
「…別に。」
そう言って、スタスタと歩き出した。
私も慌ててその後を追う。
心が一気に鉛を詰めたように重たくなった。
いつも私を気遣ってか、私の歩幅に合わせて歩いてくれるのに。
ただでさえ足の長い大ちゃんに付いていくには、私は駆け足に成らざるを得なかった。
「大ちゃん…っ」
自分でも、頼りない情けない声だと思った。