優しい君に
「…あの……」
「櫻井さん、珈琲飲める?」
「あ、ハイ…」
珈琲の香ばしい匂いが小さな部屋を満たした。
「はい、どうぞ。」
可愛いらしいマグカップを、山手先生は私に差し出した。
「ありがとうございます…」
お礼を言うと、山手先生は柔らかい笑顔を浮かべた。
先生は、私の手をひいて歴史資料室という名の小さな部屋に誘った。
資料室、というだけあって、棚は資料でいっぱいだけど、小さな机を囲んで2つの椅子がある。
さらに珈琲や紅茶を入れる機械や、小さな食器棚なんかもある。
資料室、というにはあまりに可愛い部屋。