優しい君に



「そろそろ帰らなきゃね。最終下校時間はとっくに過ぎてるもの。」



先生はそう言って立ち上がった。


私も同じように席を立つ。




「あ…珈琲ご馳走様です。」



「いいえ~お粗末様でした。」



クスクスと笑いながら歩き出した先生の一歩後ろを歩く。




「あの…」






昇降口に近づいてきた時、私は控えめに沈黙を破った。





「え?」


先生は振り向きながら、不思議そうな顔をした。



「あ…いえ…1つ不思議なことがあって…」




モゴモゴと言うと、先生は、何?、と聞き返した。





< 84 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop