優しい君に
「えっと…どうして、あんなに良くしてくれるんですか?」



先生は優しい人。


だけど、それを引いてもお釣りがくるくらいに、私に良くしてくれた。




「…なんでだと思う?」




先生はいたずらっ子のように笑ってそう言った。




その言葉に、答える気がないのを察して私は口を閉じた。







真っ暗な昇降口の先に、人影がうつる。




「あら…」




先生はおかしそうに少し笑った。





人影は、私たちの存在に気付いて振り向いた。






「みぃ…っ」






名前を呼んだ貴方は、叱られた子供みたいな顔で駆け寄った。






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