優しい君に
「大ちゃん…」



こんなに真っ暗になるまで待っていてくれたのかな。



私を、待っていてくれたのかな。




「ごめんっ!本当に…俺…っ」



手を合わせて謝り続ける彼に、私は小さく笑った。




「坂上君。」





先生がそっと言った。





「失いたくないなら、大切にしなきゃ。」





大ちゃんはそう言った先生に、『はい…』と答えた。




その返事に満足したのか、先生は一度手をパンっ!と叩いた。




「じゃあ、気を付けて帰ってね。また明日。」





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