優しい君に
「はい…今日はありがとうございました。さようなら。」
ぺこりと頭を下げて私は大ちゃんと一緒に歩き出した。
「…櫻井さん、」
不意に後ろから先生が声をかけた。
「はい…?」
首を後ろに向ける。
「さっきの質問だけど…強いて言うならあなたは、私によく似てるから、よ。」
それだけ言って先生は、私たちにバイバイと手を振って背を向けた。
私が、先生と似てる?
「それはないでしょ…」
小さく呟いて笑った私を、大ちゃんは不思議そうに見ていた。
(同じ過ちを、悲しみを、繰り返さないで欲しかった。)