優しい君に
「…櫻井さん、いいの?」



山手先生が心配そうに私を見た。



「…大丈夫です………女子で後一人、リレーに出てくれる人はいませんか?」



嘲笑を浮かべるクラスメート達に問いかける。



誰も、手をあげようとはしない。




静かな沈黙の中で、はぁ…と私が小さくため息をついた時だった。






「じゃあ、私やろっかな♪」





一番前の席から、そんな声が上がった。



「美紅ちゃんと一緒に頑張っちゃいますっ!!!」



自分の言ったことにケラケラ笑いながら鈴木さんはそう言った。







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