マイエンジェル†甘い声で囁いて
「うちのボーカル汚すような野郎のツラ見てやろーと思って、景に会わせてもらった。


ま、思った通り、大した男じゃなかったわ。風ちゃん、あんなヤツ…引きずってんの?」


タクミは顔を上げて、私を見る。


答えられなかった。引きずってるっていうか…傷付いただけ。私の中には…ショウタが好きな気持ち、まだ残ってるのかな。


迷ってると、タクミは私の方に向き直る。


「不安な事あれば、オレに相談しろよ。バンドの事でもそうじゃなくても。…受け止めるだけの度量はあるし。

…自信ないならオレがフォローするつったじゃん。風ちゃん以外のヤツと、演るなんて今のオレにはもう考えられねー。

オレを信じていいよ」


トクン…


と、心臓の鼓動がわかるようだった。


タクミの真剣な眼差しに、


あの日の事を思い出す。




私が歌おうと思ったきっかけは、タクミのこの気持ち。


これには、ウソがないって…


信じてもいいのかな。






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