マイエンジェル†甘い声で囁いて
「風ちゃん、リラックス~」


マイクの前に立つ私に、タクミがぷらぷらと手首をしならせつつ、肘で肩揉みしてくれる。


「きゃーっ!タクミくん、私もしてっ」


お姉様たちはそれ見て大騒ぎ。


…視線が怖いよぉ。これじゃ、リラックスするどころじゃないし。


「こ~ら、早くしろって」


三国くんは私たちを見て、ちょっとイラついてるように見える。


でも残念ながらそれは嫉妬とかじゃなく、三国くんの段取り通り時間内にちゃんとできるかどうかっていうイラつきなんだ。


…多分ね。


実は、三国くんのiPod…まだ借りたまま。


返さなきゃ、と思うんだけど。三国くんも返してって言わないし、返せてない。


…ていうか、返す踏ん切りがつかないんだ。


練習で疲れて帰っても、プレッシャーに負けそうになっても、毎日三国くんの歌声を聞くと安心する。


だったらホンモノに歌ってもらえば?って思うんだけど、三国くん、相変わらずだし。


あれから、二人きりの練習もなくって…。


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